大阪交通ニュース(はてなブログ版)

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相続税爆上げ論者はここまで言ってね

最近資産課税を強化しろ、相続税を上げろ、という論調をよく目にします、中には相続税100%にしろと言っている人もいます、それでもって格差を是正し、財政を手当てし、セーフティネットを整備しろ、というところです、まあ言っていることは良くわかるのですが疑問も発生します、一つは法人、企業などの財産所有とのバランスです、当然のことながら法人そのものには相続税はかかりません、個人は相続の度に相続税で財産を削られていくところを法人はそのままなのです、もちろん現状では実際に相続税を払う個人などほんの一握りの大金持ちに限られます、控除などで調整してそこのところのバランスは取ってきたのでしょう、しかしそこで個人の相続税だけを大幅に増税、課税範囲も拡大というのならば今までの個人と法人の財産課税のバランスを変えることにもなります、相続税爆上げ論者は個人間の格差ばかりあげつらうのではなく、そこのところについてどうすべきなのか言及して欲しいと思います。
二つ目はその個人から取り上げた財産がどこへ行くかです、政府がその取り上げた財産を、その中でも不動産をとっとと民間企業に売却して換金するというのであれば、それも相続税100%などであったなら、あっという間に日本中の土地は企業所有になってしまうでしょう、そうなったときにその企業が互いに示し合わせて、もしくは独占、寡占企業体に統合されたりして家賃を爆上げしてきたらどうなるのでしょうか、そのとき財産も無くなった個人にそれに抗する力は残されているのでしょうか?これではせっかくベーシックインカムを導入してもそのほとんどが不動産所有企業*1によって根こそぎ巻き上げられるという日本全国総貧困ビジネス化、ということにもなりかねません。
なぜ人が家や土地の所有にこだわるのかといえば賃料に悩まされること無く楽な生活を送りたいからでしょう、それを取り上げるというのならそれに見合った政策を要求しなければならないと思います、そこをはっきりと言っておかないと結局法人税減税の穴埋めに使われた消費税の二の舞になってしまいます*2
もともと相続税、それも100%など高い税率を取るというのならばそれはどういう能書きを付けようと私有財産否定につながる共産主義的なものです、ならばその増税した相続税によって得られた税収、資産は共産主義的政策に使われるのが筋というものでしょう、企業の資産課税も大幅に強化して全国の土地所有における国家所有の分を増やし、もう土地や建物は国家保有を原則とする、全ての国民にある一定程度までの住居は無償かそれに近い安価で貸与する、企業にもその事業規模に合わせてそれなりに貸与する、とこれくらいの政策は取るべきでしょう。
一方、和田秀樹氏は2005年5月2日の日経新聞でひとしきり相続税100%論を述べた後にこんなことを言っています「生活不安を取り払うために、失業した場合には子供の学費(教育費)を奨学金として貸与したり、住宅ローンを抱えている場合は失業期間に限り利息部分の支払いを猶予したりすることを提案したい。」これでは財産は取り上げるけどそれに対する保障や再分配は全く無いぞ、と言っているのと同じですね。
ただでさえ日本の住宅政策にかける金は最低クラスと言われています、その中で個人の財産課税ばかり強化してその結果として企業にばかり財産が集中していけば、今以上に企業の力ばかりが強い激烈な競争社会になっていくでしょう、数々の相続税爆上げ論には企業課税をどうしたらいいのかの言及がほぼ全く無いのも気にかかります。
再分配の形をどうしていくのか、個人、企業、国家の財産、特に土地や住宅所有の形をどのようにして、それによって国家の形をどうしていきたいのか、相続税爆上げ論者の方々にはそのことを是非語って頂きたい、何も言わないままでは和田氏の主張の通りただ個人の財産は没収されて再分配も何も無し、今以上に企業の力が強くなって更に激烈な競争社会の到来、ということになってしまいます。
ああ、ただセーフティネットを充実する、などと漠然としたことを言うだけなのは無しですよ、それだけだと雇用政策の推進や職業訓練の充実などとか言って官僚が好きなように食い散らかしてしまうだけの話になってしまいますからね。
まあ実際に相続税を上げるならば、まず全ての世襲議員お手盛り立法で無税で相続した政治資金を国庫に納めてもらってからにしてほしいですけどね*3

*1:その企業が外資だったりしたら目も当てられません

*2:但しこっちの方が悪影響は大きい

*3:これは最優先で論じなければいけない問題でしょう