ひき逃げ事件も増加、飲酒事故件数は昨年まで３年連続で全国最多、この状況下でも自転車での事故死増加を「いまだに危険な違反行為が横行していると判断」などと一方的に自転車のせいだと言い切ってしまう大阪府警、自転車への強烈な侮蔑というものを感じます、折りしも今年大阪ではこれらのようなニュースがありました、
引きずり死 運転手を略式起訴
先月、大阪市港区で男性が大型トラックに引きずられ死亡した事件で、大阪区検察庁はひき逃げでの立件を見送り、トラック運転手を略式起訴しました。この事件は先月、大阪市港区の市道で、自転車に乗っていた高橋伸明さん（７０）が大型トラックと衝突し、約２７０メートル引きずられて死亡したものです。大阪府警はトラックを運転していた廣瀬光嗣郎容疑者（４５）を自動車運転過失致死とひき逃げの疑いで逮捕していました。しかし、廣瀬容疑者は、「人には気付かなかった」と供述していて、大阪区検は「人をひいたという認識があったとは立証できない」として、ひき逃げでの立件を見送り、自動車運転過失致死罪のみで略式起訴しました。大阪簡易裁判所は罰金３０万円の略式命令を出し、廣瀬容疑者は既に納付しています。
( 2010/06/16 12:31 更新)KTVより男性ひき逃げのタクシー運転手を不起訴
今年２月、大阪府池田市で男性をひき逃げしたとして逮捕されたタクシー運転手について、大阪地検は運転手は当時はねたことに気づいていなかったと判断。また被害者も泥酔して道に横たわっていて落ち度が認められるとして、運転手の男性を不起訴処分とした。(09/18 02:05)YTVより
いずれも死亡ひき逃げ事件を起こしていながら上の事件に関してはひき逃げに関しては不起訴で終わり、下の事件に関しては完全に不起訴です、気付いていなかったら不起訴って、特に上の事件など人を轢いても気付かないような大きな車を運転する場合にはより一層の注意義務が科されるべきかと思うのですが。
これらの事例や先の「いまだに危険な違反行為が横行していると判断」という発言や、今話題の大阪地検特捜部の証拠偽造のことなども併せて考えると「死人に口無し」事故処理でも行われているかのような疑念でも抱いてしまいます。
そしてマスコミもそういった交通弱者に対する「死人に口無し」事故処理を後押しするかのような報道をしているのです、例えば今年１月１６日兵庫県尼崎市でトラックに自転車に乗っていた男性２人がはねられ１人死亡、１人重体という事故が起こりました、これを報じる毎日放送のニュースでは
信号は青だった、ブレーキをかけたが間に合わなかった
という容疑者の供述をそのまま報じ、被害者側の信号無視を強く印象付けました。
この事故が起こったのは午前５時の早朝で、目撃者の確保は難しそうな状況ですし、事実どの報道でも目撃者の存在について触れているものはありません、となれば被害者側が死亡および重体という状況下ではこの事故に関する証言は、事故当事者であり刑事責任や賠償の問題などで強烈に利害関係が発生しているこのトラック運転手の供述しかないということになります、となればこのトラック運転手は自らの有利なように嘘をついているという可能性も捨てきれないわけであり、こんな早い段階で「トラック側の信号が青だった、自転車側の信号無視だった」などと早々に決め付けれるようなものではない筈です。
一方去年の１２月２５日岐阜県岐阜市の横断歩道で男女５人が車にはねられ１人死亡、４人重軽傷という事故がありました、それに対するフジテレビの報道はこんな具合です、
岐阜市の繁華街で軽乗用車が横断歩道を渡っていた男女5人はねる 1人死亡、4人重軽傷
12月26日7時22分配信 フジテレビ
岐阜市の繁華街で25日夜、軽乗用車が横断歩道を渡っていた男女5人をはね、1人が死亡、4人が重軽傷を負った。
25日午後9時半ごろ、岐阜市徹明通の交差点で、軽乗用車が横断歩道を渡っていた22歳から56歳までの男女5人をはねた。
この事故で、名古屋市の会社員・山元浩樹さん(49)が頭を強く打って死亡し、4人が重軽傷を負った。
軽乗用車を運転していた女性(24)は、「携帯電話を操作していた」と話していて、警察は、赤信号を見落とした可能性が高いとみて調べている。
この事故は自動車側の信号無視、携帯ながら運転とのことです、この事故に関しては被害、加害側共に証言が出来る状況であり、また午後９時ということですから目撃者の確保も出来るかと思えます*1、ということはこの車の信号無視に関しては上記の尼崎の事故の自転車よりも確実だという事が出来るでしょう、また携帯に関しても容疑者が自らに不利なことをわざわざ言っている、もしくは目撃証言などからそう言わざるおえないという状況に追い込まれた、ということであり、いずれも先ほどの尼崎の件よりよっぽど確実な情報と言える筈です、しかしこの事故のニュースも他の報道機関にかかればこうなります、
NHKニュースより
岐阜 横断歩道で事故５人死傷
２５日夜、岐阜市で横断歩道を渡っていた５人の男女が軽乗用車にはねられ、１人が死亡、４人が重軽傷を負いました。
２５日午後９時２０分ごろ、岐阜市徹明通の繁華街の国道の交差点で、横断歩道を渡っていた５人の男女が、直進してきた軽乗用車に次々とはねられました。はねられた５人はいずれも病院に搬送され、このうち、頭を強く打っていた名古屋市東区の会社員、山元浩樹さん（４９）がおよそ６時間後に死亡しました。また、岐阜市の５４歳の女性と岐阜県瑞穂市の５６歳の女性の２人が足の骨を折るなどの大けがをし、ほかの２人も手や足に軽いけがをしました。現場は見通しのよい交差点の信号機のある横断歩道で、軽いけがをした２人は「歩行者側の信号は青だった」と話しているということです。警察は、軽乗用車を運転していた岐阜県可児市の２４歳の作業療法士の女性から事情を聴くとともに、事故を目撃した人から話を聴くなどして、当時の状況と事故の原因を詳しく調べています。
携帯の件が無くなっています、それでもここはまだ信号の件に触れているだけでもマシな方で、
＜交通事故＞男女５人はねられ、１人死亡４人重軽傷 岐阜
12月26日14時8分配信 毎日新聞
２５日午後９時２０分ごろ、岐阜市徹明通の国道１５７号交差点で、横断歩道を渡っていた男女５人が、岐阜県可児市の作業療法士の女性（２４）運転の軽乗用車にはねられた。名古屋市東区大松町、会社員、山元浩樹さん（４９）が病院に搬送されたが、約６時間半後に脳挫傷で死亡、他の４人が重軽傷を負った。県警岐阜中署が、自動車運転過失致死傷容疑で女性から事情を聴いている。同署によると、負傷者のうち、岐阜市西玉宮町、小学校教諭、小栗八重子さん（５４）と同県瑞穂市稲里、同、久富素子さん（５６）が、右足を骨折するなどして重傷。同市の女性会社員（２２）と同県坂祝町の無職の女性（２３）も右足打撲の軽傷を負った。
現場は片側２車線の国道とセンターラインのない車道が交わる押しボタン式信号交差点。【山田尚弘】
信号の件も無くなり自動車の悪質性のところが完全に削ぎ落とされています、そして先ほどの例に出したMBSも所属しているTBS(系列)の報道です、
横断歩道ではねられ５人死傷、岐阜
12月26日15時21分配信 TBS
事故があったのは、岐阜市の繁華街「柳ヶ瀬」の南側を通る国道交差点で、２５日午後９時半ごろ、横断歩道を渡っていた５人が軽自動車にはねられました。
岐阜中警察署によりますと、はねられた５人は病院へ運ばれましたが、名古屋市東区の会社員・山元浩樹さん（４９）が頭を強く打つなどして、まもなく死亡しました。
また、小学校教諭の５４歳と５６歳の女性が手や腰の骨を折る大けがをしたほか、残る２人も足を打つなどして軽傷です。
軽自動車を運転していたのは、岐阜県可児市に住む作業療法士の２４歳の女性で、警察は、軽自動車か歩行者のどちらかが信号無視をしたのが事故の原因とみて調べています。
ここも携帯も無し、信号無視もどちらの違反とも断定していません、先ほどの尼崎の件で早々と「自転車の信号無視！」などと決め付けるようなことをしていたのとは大違いでやたら消極的です、確かに報道被害というのもあることですし関係者の利害にも関係してくるこういった事実関係の報道に関しては慎重にならざるおえないといったこともあるのでしょう、しかしそれは先ほどの尼崎の事故の被害者にも言えることです、他のニュースでも「自動車側が優先車線だった」「自転車側に停止線があった」「横断歩道から外れたところを通行していた」などと交通弱者の被害者側のささいな違反をやたらあげつらう一方で、自動車側の信号無視や携帯ながら運転、飲酒などといった悪質な違反を報じた箇所が報道機関によっては削ぎ落とされてしまっている例がやたら目に付きます、このことからはとにかく自動車の危険性、悪質性といったことは極力報道せず、一方交通弱者、特に自転車のことについてはそのルール違反や危険性を執拗に取り上げる事によって、事故が起こっても悪いのは常に自転車をはじめとした交通弱者側で自動車側は悪くない、といったイメージを蔓延させ、実際に加害自動車側に有利な「死人に口無し」事故処理が行われるのに都合のいい、それに対して反発の声を上げづらい下地を作る、といったマスコミの作為が感じられます。
*1:目撃者が他にもいるということは、当事者達も気軽に嘘がつけないということにもなります。
