大阪交通ニュース(はてなブログ版)

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本当は青少年の人権など、命さえもどうでもいいと思っているくせに

2006年3月、夏の甲子園で連覇を果たした駒大苫小牧(駒澤大学附属苫小牧高等学校)野球部部員が飲酒、喫煙していたという事実が発覚しました。
この出来事(事件というほどではないでしょう)について各マスコミは大きく取り上げました、NHKニュース10で7分、テレ朝報道ステーションで12分、日テレきょうの出来事で7分、2日後の日テレバンキシャでも10分にわたってこの件が取り上げられました、これらの報道はおおむねとばっちりで春の選抜大会に出場出来なくなった(この不祥事を起こしたのは卒業間近の3年生が卒業式後に起こしたものです)1、2年生には同情的な論調でしたが(かといって処分の取り消しを強く主張するようなことまでは言いません)、その飲酒、喫煙行為そのものに関してはどこも厳しく糾弾していました。
一方、この出来事の2年前、2004年4月にはこのような事件が起こっています、

急性アルコール中毒で搬送 明大ラグビー部員9人

・東京都世田谷区の明治大ラグビー部合宿所で今月3日、飲酒した
 未成年のラグビー部員9人が急性アルコール中毒となり、救急車で
 病院に運ばれていたことが7日、分かった。9人は4月に入学した
 新入部員で、翌日には回復したという。

 明治大などによると、新入部員20数人が3日夜、合宿内の各部屋を
 あいさつして回った際、上級生に勧められて飲酒。うち19歳1人と
 18歳8人の計9人が体調を崩し、3日午後10時から4日午前零時
 ごろにかけて病院に搬送された。

 合宿所では、上級生があいさつに来た新入生に酒を飲ませることが
 慣例になっていたといい、明治大広報部は「悪い伝統をなくそうとして
 いた矢先で、大変申し訳なく思っている」とコメントした。

大学の、それも主に体育会系部活動やサークルの場では先輩からの酒の強要がある、いわゆるイッキ飲みの伝統があるなどとは良く言われていることですし、実際にそれで多数の死者も出ています、駒大苫小牧の野球部員でも直接プロ入りするような選手はほんの少数でしょう、となればその野球部員達が野球を続けるとして真っ先に選択肢に挙がるとすればそれは大学の野球部でしょう、その野球部においては先輩から酒のイッキ飲みを強要されるかもしれず、もしかしたらそれで急性アル中となり死んでしまうかもしれない、となればその前に酒に慣れておいて自分の命を少しでも守ろうとするのは自然なこと、むしろ当然の自己防衛とも言えるのではないでしょうか?
それでも、どうしても未成年者の飲酒は許せない、とマスコミが言うのならその未成年者が大学に入学したとき、のみならず人生のあらゆる局面において酒の強要にさらされない、ということを保障する必要があるでしょう、ならばマスコミはこの明治大学の一件を大きく報道し、この行為を糾弾する必要があるはずです、しかし実際にはこの一件ほとんど報じられずじまいでした、駒大苫小牧の時の大きな扱いとは実に対照的です、高校生が自ら進んで酒を飲むのと大学に入ったばかりの新入生が先輩から酒を強要され、急性アル中で体調を崩してしまい病院に担ぎ込まれること、どちらが重大で報じなければならないことなのでしょうか?
そして各マスコミは駒大苫小牧の件でバカ騒ぎした後もこれらの事件についてほとんど黙殺しています、
2006年7月14日合宿中の専大一回生急性アル中で死亡
2006年11月14日熊大ボート部イッキ飲み死に賠償命令
2007年4月27日山梨大テニスサークル飲み会で一回生急性アル中で死亡
2008年3月16日神戸学院大ユースホステル部合宿中、学生が飲酒で死亡
2008年4月28日一橋大の新入生 寮内で新歓コンパ後死亡
2008年10月14日新歓コンパで新入学生死亡、飲酒強要で退学・停学処分 一橋大
2008年10月25日明大合宿所で、同大応援団吹奏楽部に所属する商学部2年の男子学生が大量の酒を飲み死亡
2009年3月5日19歳学生が飲酒後に死亡 愛知学泉大の合宿所
2009年3月17日「イッキ飲み強要され、長男が死亡」 遺族ら、神戸学院大と学生20人に1億円の損賠求め提訴
2009年7月23日東洋大空手道部新歓コンパで飲酒した新入生が水死
2010年3月15日送別会で飲酒後に死亡 佐賀大ラグビー部員
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100315/crm1003151803018-n1.htm
2010年5月20日神奈川歯科大アメフト部歓迎コンパで飲酒、新入生が死亡
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1005200030/
これらのニュース、新聞で一段記事で報じられるのがせいぜいで、テレビのニュース番組ではほとんど無視です、これらの事件では命まで奪われているというのにマスコミの扱いはほとんどといっていいほど無いのです、これだとマスコミが高校生の飲酒を槍玉に挙げるのは、新歓コンパで未だ酒を飲んだことの無い新入生を無理矢理酔わせて醜態を晒させたり、生死の境目まで追い込む、という愉しみを奪われるのが許せないからではないか?と思うしかありません、青少年の人権、健康、のみならず命そのものよりも主に体育会系にはびこる悪しき伝統を守ることの方がマスコミにとっては重要だということです。
同様の傾向は警察、検察当局にも見られます、上に挙げた「殺人事件」、計10人もの命が奪われているというのに誰一人として刑事訴追された者はいません、少なくともそういった報道はありません、いわばこれらの殺人行為は当局によって完全に容認されているのです、そもそも2006年10月20日には兵庫県警の未成年の警察官が署員の懇親会(当然まわりの署員も承知しているはず)で泥酔した挙句、路上で保護されたという不祥事が明るみになっています、このことは体育会系の伝統を守る為ならば青少年の健康や生命などどうでもいいという悪しき思想に警察組織そのものがどっぷり染まっているということの証明にもなっています。
その警察も未成年者に酒を売った小売業者や飲酒を黙認した親の摘発にはやたら熱心です、そして酒の販売の現場では年齢確認や身分証明証の提示が要求され、販売者、購入者とも非常に面倒で不愉快な思いをさせられます、そんなことより本当に青少年の事を思うのなら新歓コンパの席での飲酒の強要による殺人行為、そこまで認定することは難しいというのなら上級生と同席の場における飲酒の事件についてその上級生の監督責任というものをもっと厳しく追求していく必要があるはずです、そして全ての部とサークルはその会合では一切の飲酒をしない、飲酒の強要を一切しないことを自ら宣言し(私はそのようなものは一切聞いたことが無いです)大学当局はそれに違反した場合には永久に廃部にすることを、それぞれの競技連盟は永久追放にすることをはっきりと宣言すればいいのです、これは酒の販売の現場でいちいち年齢確認、身分証明書の確認を義務付けたりすることよりはよっぽど簡単で、青少年の命や健康を守る上でよっぽど成果があるはずですし、やらなければいけないことのはずなのです。
わざわざ面倒で成果の薄い政策の方を強行する警察並びに行政当局、この面倒さを押し付けさせることこそが本当の目的なのでは?と思えてきます、未成年者の保護などとはあくまで方便であり、国民に不便な思いを味わさせ、身分証明書携帯の義務付けといったより監視、管理された社会に誘導していくこと、これこそが未成年者に対する酒類販売規制の本当の目的なのでしょう、未成年者の命や健康のことなど最初からどうでもいいのです、考えてみれば体育会系組織などというものは管理、抑圧的組織を作る上において非常に有効なものです、とすれば自身そのものが暴力的体育会系組織である警察が体育会系組織による横暴というものを容認することも当然のことなのでしょう、警察にとっては国民を監視、抑圧する上で都合のいい体育会系組織、及びその考え方というものを社会全体で普遍的なものにしていくことこそが最終目的なのですから、その前では青少年が酒の強要によって死んでいこうが大した問題では無いのでしょう。