大阪交通ニュース(はてなブログ版)

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真の敵はここに居るぞ!

昨日(8月26日)の産経新聞、主張(恐らく社説)としてこのような文章が載せられていました、
【主張】貧困ビジネス つけ込まれる制度見直せ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100826/crm1008260302003-n1.htm 

貧困ビジネスを痛烈に批判する内容になっています。

生活保護費は税金である。困窮者を食い物にする悪質さもさることながら、不正受給の横行は生活保護制度そのものを崩壊させかねない。

このような報道で生活保護制度へのマイナスイメージを増大させ、崩壊させる気満々です。

しかも、新たな申請が毎月3千件前後もあり、申請書類が整っていれば、ほぼフリーパスだという。

本当にフリーパスなら貧困ビジネスもそもそも発生しないと思うのですが、ここで非難されるべきは徒手空拳でやってきた申請者に申請書類を整えさせなかった、その手段を教えなかった役所の方でしょう、また、

貧困ビジネスを根絶する抜本的な対策が求められる。

ときて、

市側にも一段と強い姿勢を求めたい。
そのためにも受給者の追跡調査や厳しい審査が必要だ。

となります、貧困ビジネスを根絶する為には生活保護受給者がどんな不利益を被っても、窮屈な思いをしても、保護から洩れる人が幾ら出てこようとも全く気にしない、といった産経新聞社の強固な信念がよく伝わってきます。

生活保護法は「最低限度の生活保障」とともに「自立の助長」をうたっている。制度の目的は、むしろ後者にある。

法の趣旨を産経新聞社が勝手に決めんなよって感じです、むしろこの挟み込まれた「自立の助長」というきれい事の概念が水際作戦の根拠となり、これでどれだけの者がセーフティネットから排除されてきたかということでしょう。
そして特筆すべきはここです、

懸念されるのは「低賃金の非正規雇用より生活保護の方がまし」「いざとなれば生活保護をもらうから年金保険料は払わない」といったモラルハザード(倫理の欠如)が広がっていることだ。

よく言ったものです、他社はしり込みして言わないところをここまではっきりと言うというところには男らしいものを感じます、そうです、確かにロクな仕事が無いから生活保護などというのはモラルハザードともいえるでしょう、それでは企業側の行為はどうなのでしょうか?情け容赦無い派遣従業員の解雇、怒号渦巻くブラック企業、当然のように強要されるサービス残業、一方的な恫喝による強制的解雇、こういったことはモラルハザードではないのでしょうか?一回でも産経新聞は(他社もですが)企業側の行為をモラルハザードという判りやすい言葉を使ってここまで糾弾したことがあるのでしょうか?
安易に生活保護に頼るのもモラルハザード、ならば企業側の数々のあくどい行為もこれまたモラルハザードのはずです、問題はどちらをより許せなくて無くしていかなければならないものとするか?ということでしょう、情け容赦無く解雇されても、怒号渦巻くブラック企業や強要される長時間サービス残業に耐えられなくなって辞めても、恫喝により強制的解雇されても安易に頼れる手厚い生活保護や失業保険があればその痛みを緩和することが出来ます、一方そういった手厚い保障があればブラック企業は直ちに人手不足となり、正社員を解雇して不安定で低給与な派遣ならびに期間従業員に置き換えるという企みもうまく行かなくなるでしょう、そう、セーフティネットに甘えて働かずに生活する人とブラック企業はいわばトレードオフの関係なのです、この産経新聞の【主張】は産経新聞社がどちらを撲滅すべき対象としているかをはっきりと示してくれた事例といえるでしょう*1
ネットを見ているとブラック企業に苦しめられているのかもわかりませんが、とにかく正社員を解雇しろ!相続税を100%にしろ!とかルサンチマンにかられてそういうことを言っている人を目にします、しかしそんなことをしたってますます雇用情勢が悪化してブラック企業がのさばり、社会の富が企業に集中してこれまた今以上に企業の横暴がひどくなるだけの話です、そんなことよりブラック企業をのさばらせている真の敵はここに居るぞ!と言いたいです。

*1:まあ他マスコミも同じようなものですけどね、ここまではっきりとは言わないだけで。