大阪交通ニュース(はてなブログ版)

交通弱者のためのニュースを追求します、あとコメントは承認制にしています。はてなダイアリーhttp://d.hatena.ne.jp/delalte/より移転しました。

弱者にのみ道徳、モラルによる断罪を行うマスコミ

何やら年末になってひどい車の事故が頻発している中*1、続いてきた日経新聞夕刊における自転車叩き連載も27日分で最終回となりました、この連載、中には自転車側の立場に立ったような視点を見せることもあったのですが、この最終回においても、

例えば車道の両側に自転車レーンを設けた後も、歩道も通行できるままにしている箇所が多い。レーンは一方通行だが、逆向きにも走れないと買い物などに不便だと地元が反対するからだ。結果的に自転車は空間を二重取りしていることになる。

などという箇所があるように、結局のところ自転車側のマナー、ルール違反ばかりを追及し、権利拡大を許さない、といった姿勢が主に支配的なものでした、まだ大して自転車道も整備されてないうちから「空間を二重取りしている」などとよく言ったものです、じゃあこれはどうなのでしょう、

走行車線と路側帯、車が空間を二重取りしています、次にここなどは、

歩道上も加え三重取りです、次にここは、

歩行者用信号が青になっているにも関わらずまだ横断歩道上を占拠しているのです、このように車の側が空間を二重、三重取りしているところなど幾らでもあるのに日経新聞どころか全てのマスコミがそのことには一切触れないまま、自転車がちょっと空間の二重取り的な状況が生まれただけですかさずそれを叩くとは、あまりに扱いに差がありすぎるのではないでしょうか。
こういった報道姿勢には自転車に対するイメージを悪化させることによって、むしろ自転車道の整備の動きに対してストップをかけようという意図も見えてきます、しかし、ちょっと自転車道を整備しようとするだけで自転車のマナーがどうだとマスコミが言ってくるのとは対照的に、未だかつて自動車道整備にあたって車のマナーの悪さ、ルール違反などを追及するような報道が為されたことはあったのでしょうか?住宅地も含め土地収用、いわゆる地上げを行い、それでもって新たに自動車道を建設するといったことは国土における自動車の占有面積を拡大させる行為なわけであって、それは元あった道路の分と併せて自動車の占有面積を二重三重にと拡大してきたことであり、今までそういうことを散々容認、推進しておきながら、今度は自転車道整備ということになった時のみこのようなことを言ってくるのはちょっと汚いでしょう。
このように弱者の側にのみ一方的に道徳モラルや窮屈なルールを押し付けて断罪するといったやり方は日本マスコミの得意技です、経営者側がどんな悪どいことをしても道徳やモラルから糾弾されるということは一切ないのに*2生活保護受給者や派遣村に来た人などは即座に何かあると(何もなくても)道徳モラルでもって容赦なく断罪する、といった報道姿勢にもよくあらわれています。

*1:何だか今年は特にひどいですね。

*2:サービス残業による過重労働、パワハラ、派遣切りなどがマスコミに取り上げられることはありますが、あくまでそれは労働者側の窮状を訴える、といった視線からのものであり、決して経営側をそれで断罪、追及するといったものにはなっていません、唯一そういう動きが見られたのは脱線事故JR西日本日勤教育が取り上げられた時くらいなものですが、それすらも立ち消えになった感じです。