大阪交通ニュース(はてなブログ版)

交通弱者のためのニュースを追求します、あとコメントは承認制にしています。はてなダイアリーhttp://d.hatena.ne.jp/delalte/より移転しました。

朝日新聞も自転車叩きに参入か?

朝日新聞WEBサイト、asahi.comに以下のような自転車叩き記事が載りました、

マナー守られぬ自転車 歩行者と事故、10年で3.7倍
http://www.asahi.com/special/playback/TKY201011210418.html
 歩行者を巻き込む自転車の事故が絶えない。昨年は全国で2934件。10年間で約3.7倍に増えた。自転車は幅広い年齢層が愛用するが、マナーが守られているとは言い難い。「エコブーム」で自転車人気はさらに広がるが、万一に備えた保険の加入率は上がらず、専用レーンなどの整備も進んでいない。

■一瞬の油断、命奪う

 「禁固2年執行猶予3年」――。12日、東京地裁が43歳の男性会社員に有罪判決を言い渡した。1月に自転車で走行中、東京都大田区の交差点で75歳の女性とぶつかった。女性は転倒して頭を打ち、5日後に死亡した。

 男性はサイクリングが趣味で、多摩川に向かう途中だった。車道の左側を走っていたが赤信号に気づかず、横断歩道を左から渡ってきた女性とぶつかった。5メートル手前で女性に気づいてブレーキをかけたが間に合わなかった。

 普通の会社員から刑事被告人に。「慎重な性格だったのに」と、昨年結婚したばかりの妻も肩を落とす。夫婦で近くの神社に通い、犠牲者の冥福を祈るしかなかった。

 一方で、遺族の悲しみは癒やされない。「私は被告人に母を殺された」。女性の長男で会社員の東光宏さん(40)は重い処罰を望んだ。

 自転車事故で適用される罪は多くの場合「重過失致死罪」。最高でも5年の懲役か禁固だ。「ならばせめて実刑を」と裁判で訴えたが、受け入れられなかった。判決を聞き、東さんは法廷で「不満です」と声を上げた。

■守られぬマナー、検挙急増

 警察庁によると、自転車と歩行者の事故は1999年は801件だったが、翌年に1827件に急増。最近は2千件台の後半で推移している。

 交通事故全体は減る傾向だが、自転車事故は2009年に15万6373件(21.2%)あり、全体に占める割合は増えている。

 信号無視など自転車側に違反があった割合は66.7%。死亡事故に限ってみると74%とさらに高くなり、マナーの悪さが目立つ。被害も深刻だ。死者数は695人に及び、64%は65歳以上の高齢者だ。

 最近では、携帯電話で通話やメールをしながら運転していたケースや、簡単にスピードが出やすい電動自転車の事故も目立つという。

 事故が増えた原因について警察庁は、「自転車が通行する環境の悪さなどが指摘されているが、原因は検証できていない」という。だが警察関係者は「免許が不要で手軽に乗れる半面、ルール順守の意識がまだまだ低い」ことが背景にあるとみて対策に乗り出している。

 全国の警察による自転車事故の検挙件数は05年は326件だったが、09年は1616件と5倍近くに増えた。

 また警察庁は08年に30年ぶりに教則を改正。走行中にヘッドホンで音楽を聴く行為や携帯電話の使用、傘差しなども禁止と明示した。自治体とも協力し、交通安全講習の回数を増やすなどしている。(佐々木学、歌野清一郎)

■意外に守られていない? 「自転車安全利用5則」(政府の交通対策本部作成)

1)自転車は車道が原則、歩道は例外

2)車道は左側を通行

3)歩道は歩行者優先で車道寄りを徐行

4)安全ルールを守る(飲酒運転・2人乗り・並走の禁止/夜間ライト点灯/交差点での信号順守と一時停止・安全確認)

5)子どもはヘルメットを着用

おおむね毎日新聞を追随するような内容です、取り上げられている自転車加害事故の裁判も毎日新聞で何回も掲載されていたものです、まあ確かにこの事故はひどいものだったのでしょうが、反面この事故ばかりが何度も取り上げられているということは他にはこれに匹敵するようなひどい事故は起きていない、という証明にもなっているとも思えます、一方、自動車が起こした事故の裁判のニュースはこれだけひどいものでも大して取り上げられないまま埋もれてしまっているのです。
10月26日埼玉県熊谷市母娘死亡事故懲役8年判決酒気帯び信号無視認定
11月8日宮崎市酒気帯び時速140〜150キロ運転で歩道にいた女性はね死なせた男に懲役5年6月判決
http://mainichi.jp/area/miyazaki/archive/news/2010/11/09/20101109ddlk45040690000c.html
11月15日兵庫県西宮市酒気帯び信号無視で2人死傷ひき逃げ懲役9年判決
http://mainichi.jp/area/hyogo/archive/news/2010/11/16/20101116ddlk28040389000c.html
あとこの記事の中でもちょっと目新しい情報だと思ったのはこのあたりでしょうか?

信号無視など自転車側に違反があった割合は66.7%。死亡事故に限ってみると74%とさらに高くなり、マナーの悪さが目立つ。被害も深刻だ。死者数は695人に及び、64%は65歳以上の高齢者だ。

なんだか自転車が事故被害に遭っても自業自得だ!みたいな感じですね、しかしだとするならこの割合、自動車などの分も出してくれなければ何だか自転車側ばかりが一方的に責められている感じでどうもスッキリしません、そこで交通安全白書を見てみたところそのまま自動車の事故時違反割合などを表したところはありませんでしたが、似たようなところはありました、そこでは「第1当事者(交通事故の当事者のうち,過失が最も重い者又は過失が同程度の場合は被害が最も軽い者をいう。)別の交通死亡事故発生件数」というものが出ており、

それだと自転車の第1当事者交通死亡事故発生件数は227件となっているのです、朝日新聞の記事によれば自転車の交通事故死者は695人、うち74%が違反となると違反のある自転車交通事故死者は514人、しかし自転車の第1当事者交通死亡事故発生件数は227件、まあ自転車加害死亡事故もあるのでしょうがそれは数は少ないとして今は考えない事にすると、その差は300人分くらいあるのです、要は自転車側に違反があるといっても相手側(自動車など)にも同等以上の違反があるケースが半分以上だということです、違反を犯しているのは自転車側ばかりではないということですね、それにしても気になるのは自転車側に違反があるとされた割合が死亡事故の時に10%近くも跳ね上がっていることです、「死人に口無し事故処理」でも行われているんじゃないか?と勘ぐってしまいます、ひとつ確実に言える事はこの朝日新聞の記事みたいに自転車側のマナーや違反ばかり槍玉にあげるような記事ばかりが幅を利かせていれば、そのことが警察などの事故処理関係者にあらかじめ予断を生じさせ、本当に「死人に口無し事故処理」を行わせる下地を作る事になるということです。
あと一つ断っておきますとこの記事、大阪版の実際の紙面には掲載されないままでした(11月29日現在)、関東ローカルだったのでしょうか?まあ大阪の朝日新聞は大阪で飲酒事故発生件数が全国ワースト1なことも、ひき逃げが急増していることも、21日に起こった枚方市重体ひき逃げ事件のことも黙殺するくらい交通問題に関しては我関せずを貫いているわけですから、今さら自転車叩き記事など掲載できませんね。