大阪交通ニュース(はてなブログ版)

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職業訓練など無意味だろ

6月19日の朝日新聞にこんな記事が載っていました、

職業訓練で就職 国負担減る試算 生活保護より
高校を卒業した若者が職業訓練を受けて就労できた場合、訓練を受けずに生活保護を受け続けた場合と比べて、国の財政に最大1億円以上のプラス効果があるという試算が18日、明らかになった。国が保障する最低限度の生活水準を検討している厚生労働省ナショナルミニマム研究会」が同日まとめた中間報告に盛り込まれた。
研究会は長妻昭厚労相が立ち上げたもので、作業チームが試算をまとめた。高校を卒業した18歳の男女に対し、2年間の集中的な職業訓練をすると想定。その間の生活費や訓練費用として1人約450万円の全額を国が負担した上で、65歳までの税金納付額などを推計した。
男性が訓練直後に正規就労した最良のシナリオでは、4658万円のプラス効果が出た。訓練を受けずに就職できず、生活保護を受け続けた場合と比べると、最大で1億1005万円のプラスとなった。女性の場合も、正規就労につながれば2500万円強のプラス、生活保護を受け続けた場合との比較で8700万円以上のプラスとなった。
同研究会がまとめた中間報告は「社会保障を『コスト』ではなく、『未来への投資』と位置づければ、社会保障と経済成長が共存共栄の車の両輪の関係となる」と、強い社会保障の考え方を明記。そのうえで、「特に医療、介護、保育等の分野は今後確実な需要の増大が見込まれ、地域における雇用創出効果も極めて高い」と指摘している。菅直人首相が掲げる「強い社会保障」を後押しするものだ。

馬鹿じゃないでしょうか、まずその職業訓練がその人の正規就労に結びつくか?という見通しが不明確です、6月8日の朝日新聞にはこんな投稿がありました、

介護は人手不足なのに
介護職を転職と思って働いてきましたが、施設の閉園で失業したため、新たな職場を探しています。介護は人手不足と言われます。でも、どの施設も年齢の若い女性ばかりを求め、一向に採用されません。ヘルパー2級だけで介護福祉士の資格を持たないため、人材確保の助成金が出ないことも理由のようです。ハローワーク職員にも「あなたを雇う施設はない」と言われる始末ですもっと門戸を広げ、職業選択できるようにならないものでしょうか。
群馬県 求職中 40代男性

「特に医療、介護、保育等の分野は今後確実な需要の増大が見込まれ、地域における雇用創出効果も極めて高い」などと言ってもこの有様です、この投稿から分かるのは技能など一通り行き渡ってしまえば、そこからまた年齢などによる差別が始まるということです、そりゃ識字率が低いようなところでは教育が雇用改善に、そしてその国の経済の向上に繋がるところも大きいのでしょうが、必要とされる技能が一通り行き渡ってしまえばそこから上のレベルの職業訓練、技能などは何ら求められるものではなく、それよりも年齢、性別*1による選別が始まるというわけです、それにもし、その面で成果があったとしてもその正規就労の座は職業訓練の機会を受け得なかった誰かを押しのける事によって得られたものなのです、この職業訓練によって国の負担が減るなどと言い張る為には、その訓練によって労働者のスキルが向上する事により新たな需要が開拓でき、新たな雇用が創出される余地があるということを証明する必要があるでしょう、しかし新たな需要の開拓などということは今の日本にとって最大の難問です、各民間企業が血眼になって追求しているものです、こんな役人の机上の計算から易々と導き出されるようなものとは思えません。
そもそも職業訓練の場では本当に役に立つことは行われているのでしょうか?例えば無料で受けられる職業訓練や刑務所内での職業訓練で弁護士資格や薬剤師資格が取れるとなったらどうでしょう、受講者は大喜びするかもしれませんがそれらの協会は大激怒です、そんな手軽にホイホイとその資格を取得され、大量に資格保持者が生み出されるようなことになってはその資格保持者の価値は大暴落ですから、これは全ての事に言えるわけであり例えその職業訓練で何らかの技能を身につけ、それでその人の就職が有利になったという局面があったとしても、元からその技能を持っていた人にとってはその価値の希少性が減じられますし、またその技能を持ってないがゆえに就職が不利になった人も発生するということでもあります、そりゃ識字率が低いようなところではそれを向上させる事により経済を向上させる効果もあるでしょうが、そういうわけでもないこの国でこれ以上労働者に労働訓練で身に付けられるような技能を身に付けさしても結局は労働者、求職者に負担をかけ*2、それに関わる官僚や業者が甘い汁を吸うだけに終わるのではないでしょうか?
雇用に関する助成金なども、

ヘルパー2級だけで介護福祉士の資格を持たないため、人材確保の助成金が出ないことも理由のようです。

ここでは資格の箔付けに使われ、これ以外のところでも条件外の人をパージするという効果が必ず発生しているわけであり、全体の雇用情勢緩和に対する影響は結局ゼロ、それどころか全体の賃金水準に下方圧力を掛けさえもします、結局は只の税金無駄遣いです、そんなことよりもそれらにかかる金を無条件で失業者に渡し、失業してもとりあえずは生きていけるという安心感を全国民に与えるべきでしょう、消費を回復させて内需主導の景気回復を図るというのならこれしか道はありません。

*1:雇用市場の底辺においては中年層以上の男性など最も弱者といえるでしょう

*2:全ての労働者が絶え間無く多大な時間を自己研鑽に費やすことを要求されるという事になれば娯楽産業は大ダメージを受け、労働者のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼすことでしょう。