大阪交通ニュース(はてなブログ版)

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報ステの生活保護叩きから見るイメージの拡散と分断の手法

昨日(16日)のテレビ朝日報道ステーションでは生活保護詐欺の特集が組まれていました、取材ビデオの内容は詐病したり、病院を複数かけもちして精神病薬を多量に詐取し、それを売り払って利益を得ている受給者を問題にしている内容で、別にこういった詐欺行為を問題視することについては私も全く異論は無いのですが、この後に続いたコメンテイターの意見は「自立の為ギリギリまで努力したのか、生活保護はあくまで最後の、最後の手段という事にしておかないと社会がおかしくなる。」などと生活保護受給者全体をやり玉に上げ、糾弾するものでした、あくまで不正受給を問題にしていた取材ビデオの内容とはうって変わり、というかその取材ビデオによって呼び起こされた生活保護制度への問題意識に乗っかる形で批判対象が生活保護制度そのものと受給者全体にまでこのコメントでは広げられたのです、この一部分を問題にしていたはずがいつの間にか全体への批判に転じている、今回の報ステだとあまりにコメントが急展開で分かりやすかったのですが、先に放送されたNHK生活保護や失業給付金叩きの一連の番組などもこれと同じ構造を持っていることにも気づきます、番組の前半では明らかに故意で不法な詐取の手口の例が取り上げられていたのに後半では自立しようとしない(できない)受給者を責め立てる内容となっているわけです、元々悪意を持って意図的に詐取を行う人と、自立しない(できない)にしても悪意を持って詐取をしているわけではない人とは当然分けて考えられるべきなのですが、これらの番組ではそれが思いっきり同一視されるように、まずはじめに紹介される一部の明らかに意図的に不法行為を行う人への悪いイメージが意図的に受給者全体にまで拡散される作りとなっています、これはこれらの制度への信用失墜を狙ったマスコミの悪質な印象操作と言えるでしょう。
マスコミによる自転車叩きも全く同じ構図の下繰り返されています、先ず自転車の対歩行者事故が激増しているとぶち上げ(事故数などは警察である程度は操作出来るでしょうし、そもそもこの対歩行者事故数という括りが自転車加害のものしか見かけないという非常に特殊な数字です、二重の意味でインチキくさい数字と言えるでしょう。)数少ない自転車加害事故を大きく取り上げ(大田区の信号無視事故などはどれだけ繰り返し取り上げられてきたことでしょう。)、自転車に対する危機意識を煽ったかと思いきや、今度は自転車の信号無視、二人乗り、ケータイながら運転、無点灯など自転車側の触法行為が細かいところまでいちいち問題にされ、次には歩道走行そのものや歩行者の横をすり抜けること、歩行者にベルを鳴らすこと、人ごみに自転車で入っていくこと、駐輪、広い河川敷をちょっとスピード上げて走ることなどまで暴走自転車などと一括りに断罪され、歩行者の安全を錦の御旗にするばかりか毎日新聞などは自転車の歩道走行が対自動車事故の原因だ!などと車を免罪するようなことまでも言い出し、普通の自転車ユーザーがちょっとやってしまうような違反や、それをしなければまともな通行が出来なくなることさえまでも糾弾の対象とし、もう自転車で走ることそのものが危険きわまることであるかのような意識の刷り込みが行われ、自転車ユーザー全てを糾弾するかのような報道をしています、これと極めて対照的なのが自動車に対する報道で、ここのところ単独で取り上げられたりしているのはもっぱら飲酒運転およびひき逃げのみであり、スピード違反も最近で取り上げられたのは年末の田園調布の事故の直後ぐらいで、あとは無免運転も、信号無視も、ケータイながら運転も(これは数年前の法改正時にほんのちょっとだけ取り上げただけです)、あおり行為も、路上駐車も、歩道も無いような狭い住宅街の抜け道をスピード上げて走り抜けることも*1、歩行者や自転車に圧迫感を与えた上すぐ脇を通り抜けることも、出入りの為に歩道上を占拠することも、
 
歩行者にクラクションを鳴らすことも、人ごみに車で乗り入れることも(自転車はあくまですり抜けるだけですが、自動車はといえばクラクションを鳴らしたりして強制的に歩行者に道を空けさせているわけです。)、横断歩道上で歩行者に圧迫感を加えることも(私は最近も横断歩道上でクラクションを鳴らされました、むちゃむかついた。)、それどころか横断歩道上を占拠してしまうことも、
 
歩道上までも駐車で占拠することも、
 
一時停止無視も、ウインカー点けずの右折左折も、車のやることなら一切取り上げられず黙認されるということです、車の危険運転とは即ち飲酒運転とひき逃げだけのことであり、そういう報道だけがなされ、他のあらゆる違反や危険行為はそこから切り離され免罪されるというわけです、自転車はその行為全てが危険であるとのイメージが報道によって拡散され、全てのユーザーが弾劾されるのとは対照的に、自動車は飲酒運転およびひき逃げ犯にのみその危険の責が負わされ、その他のあらゆる違反、危険行為は報道から分断され、飲酒運転、ひき逃げさえしなければ一般のドライバーは決して糾弾の対象にならないというわけです、弾劾したい者への悪いイメージの拡散と保護したい者の悪いイメージからの分断、見事にマスコミが印象操作を使い分けている例と言えるでしょう。

*1:テレ朝のスーパーモーニングも数年前までは抜け道を通り抜ける自動車とかよく取り上げていたものですが、最近では自転車は度々しつこく槍玉にあげるくせに年末の田園調布の事故、先月の2人死亡飲酒事故、飲酒同乗者にも実刑が下された判決など自動車側が悪役となるようなニュースは全部完全黙殺というあまりにわかりやすい一方的差別報道をする番組に成り下がってしまいました、一方、夕方のスーパーJチャンネルでは今日も自転車を槍玉にあげてたみたいですし、11日には生活保護叩きをしていたとか(いずれも関西は放送なし、まあ見たくもないですが。)、テレ朝は局をあげて弱いものいじめに邁進しているようです。