大阪交通ニュース(はてなブログ版)

交通弱者のためのニュースを追求します、あとコメントは承認制にしています。はてなダイアリーhttp://d.hatena.ne.jp/delalte/より移転しました。

自転車青切符、安全でマスコミの歓心を買う方向にシフトか。

先週8月3日、警察庁が自転車にも青切符交付という発表をしました、

www.sankei.com

まず、いの一番に出されているデータ、自転車が関係した死亡重傷事故、自転車側の法令違反73.2%とあります。よくこれは出される数字なのですが、事故相手方の数値を伏せているという点で極めて一方的で詐欺的なものですね、事故相手方の違反や過失は問わない、一切の考慮に入れないということなのですから。以前この手法は大阪府警が多用していたのですが、そちらが最近は控えてきたかと思いきや、今度は親元の警察庁が堂々と使用してきました。それにこれはむしろ低い値ではないでしょうか。昨年11月22日朝日放送「newsおかえり」という番組で、危険交差点について扱っていたのですが、まあものの見事に一時停止を徐行もせずに完全無視、徐行指示も無視、という違反行為を犯した車がどんどん事故を起こしていく様子が放送されていました。また中には一時停止を怠った自転車が事故に巻き込まれたケース(相手車側も徐行無視)もありました。こうして考えてみると、自転車でも違反行為を犯した者から事故に遭うというのは極めて当然なことで、それで法令違反で事故関係者になるのが73.2%というのは思ったより低い割合で、むしろ何の違反がなくても26.8%も事故に遭っているということの方が深刻な事態だと思えます。また法令違反が73.2%といっても、相手方のことについては今回の発表では全く情報がないのですから、これでは相手側の車が飲酒運転の上、大幅スピード違反があったとしても、自転車の側にちょっとした注意義務違反がこじつけられて、73.2%の側に入れられているという可能性もあり、また死人に口なし事故処理が行われている可能性もあります。今回のこの発表は、少なくともこの26.8%、恐らくはもっと多数の自転車被害事故に関して減らすことには全く寄与しません。

そしてこの8月3日の夕方には、勢いに乗ったか産経新聞は追加でこんな記事を出してきました、

www.sankei.com「むちゃな運転」、いきなり散々な言われようですね。よりによって販売店店長が飲酒死亡ひき逃げ*1を起こした大阪産経新聞がそういうことを言いますか、という感じです。

これらの動画は、先日大阪府内で昼間半日ほどの間に撮影したものです。自転車の違反が横行しているというのも事実なのでしょうが、車の違反もすぐにこうしたものが短時間の間に撮れるほど横行しているのは間違いありません。自転車の違反については過去散々やり玉にあげてきたマスコミも、車のこうした行為については全くもって無視、あたかも自転車のみが違反を繰り返しているかのような、一方的で偏っている印象操作を繰り返しています。

www.sankei.com

考えてみたら、車の摘発は危険が大きいです。逃走車は暴走し、過去には検問の警官がはねられて殉職にまで至ったこともあります。最初は軽微な違反かと思っても、飲酒、無免、盗難車、どこに暴発要因があるかわかりません。そしてマスコミも批判的*2。それに比べれば自転車の取り締まりなど手軽で安全、マスコミも援護射撃してくれる。今回のこの発表は、そうした安全でマスコミの歓心も得られる方向へのシフトなのではないか、そう思えるところです。

 

 

 

*1:この死亡ひき逃げは、狭い道で追い抜き曲がり際にはね、被害者が引っかかったまま長距離ひきずり、という被害者側の落ち度ゼロ、どうしようもない悪質なものでした。

*2:2006年6月の駐車監視員制度導入時のマスコミのネガキャンぶりは凄かったですね、読売新聞なんて連載形式の記事にまでしていました。